低周波音について知っておきたいこと

低周波音とは

 

低周波音は、その名のとおり、低い周波数の音のことです。音の高さをあらわす単位をHz(ヘルツ)ということは広く知られていますが、Hzというのは「1秒間に振動する回数」をさしています。つまり1000Hzは、1秒間に1000回振動して発する音ということになります。この振動数が少ない音のことを低周波音といいます。
日本では、1Hz?100Hzを低周波音と定義しています。また、低周波音のなかでも人の耳では聞き取りにくい20Hz以下の音は、超低周波音とされます。

 

低周波音は、身近のいたるところで発生しています。交通機関では、道路の高架橋、高速鉄道のトンネル、そしてヘリコプターや船といった乗り物も低周波音を発します。工事現場では、送風機や振動ふるいなど、使用されるさまざまな機械が発しています。また、店舗や公共施設のボイラーや室外機も低周波音を発する代表的なものの一つです。このような人工物だけではなく、自然界にも低周波音は存在しており、代表的なものでは滝の音に含まれる音が低周波音とされています。

 

 

 

低周波音が引き起こす身体への悪影響

 

こうした低周波音は、大きな音だと建物を振動させ、窓やドアをがたがたと揺らすことさえあります。
また、そこまで大きな音ではなくても、低周波音は人に圧迫感や不快感を与えることがあります。とはいえ、低周波音は人の聴覚では聞き取れないような低い周波数の音も含まれており、耳にしたからといってただちに身体に悪影響が出ることはありません。
しかしながら、低周波音によって健康を損なってしまうケースもみられます。それが、近年問題になりつつある、低周波音症候群です。

 

低周波音症候群とは

 

低周波症候群は、低周波音あるいは耳には聞こえない超低周波音にさらされることにより起こる、さまざまな身体の変調のことです。具体的には、イライラした感情や頭痛、めまい、不眠など‥‥。このような症状は年々悪化する場合もあり、原因となる低周波音を取り除かない限り症状は解消されないという厄介なものです。
特に、環境音や生活音に紛れる日中は平気でも、静かな夜間の室内では継続的な低周波音に悩まされ、眠れないという症状を訴える人が多く、被害は深刻です。低周波音は透過力が強く、防音工事をほどこしてもあまり効き目がないことも問題の一つといわれています。また、同じ室内で生活していても、低周波音に影響される人とされない人の個人差が大きく、他の人の理解を得られないことも辛さに拍車をかけています。

 

環境省の低周波音対策

 

年々相談が増え続ける低周波問題に対して、環境省は平成16年に「低周波音問題対応の手引書」、平成14年、20年に「低周波音防止対策事例集」と「低周波音対応事例集」を発表しました。また、低周波音に関する苦情が寄せられた際に、音の大きさを判断できる「参照値」を定めています。
参照値は、独立行政法人産業総合研究所でおこなわれた聴感実験によって、被験者90%以上の人が許容できるレベルの低周波音だと答えたものです。つまり、他の10%の被験者は、参照値を不快だと感じたことになります。 ゆえに、「参照値以下だから問題ない」、「参照値以上だから改善が必要」という判断材料にはなりません。参照値はあくまで判断材料のひとつとして、慎重に対応をしていくことが求められます。
低周波音には、基準値がありません。また、聴感に個人差があるため、悪臭や振動のように、調査した数値だけでさまざまな配慮や判断をくだすことも難しいのが実情です。
環境に良いとされる風力発電も、発生する低周波音が生活や健康に影響をもたらす点が懸念されています。そのため、環境省は平成22年から、風力発電施設からの低周波音を想定した、さまざまな聴感反応調査を開始し、問題に取り組んでいます。

 

低周波音の計測について

 

実際に低周波音を測定する手順は、環境省が平成12年10月にまとめた「低周波音の測定方法に関するマニュアル」に書かれています。
低周波音の数値を測定するには、低周波音レベル計、精密騒音計、実時間周波数分析器といった計測器が必要となります。
計測する際は、周りの環境や天気にも注意を払わなければなりません。というのも、低周波音は風の影響を受けやすく、風雑音が入ると正確な数値を測定することが難しいからです。場合によっては、データレコーダに低周波音を録音し、持ち帰って波形分析をした方が良いケースもあります。
こうした測定器は、新品を購入すると高額ですが、レンタルで利用することもできます。レンタルの場合、使用台数や使用日数に応じて金額が異なるので、事前に見積もりを依頼して利用します。計測器の中古市場も充実しているので、長期間にわたって使用したい場合は、中古購入とレンタルのどちらの費用が安いか、比較検討をするのもおすすめです。

 

まとめ

 

低周波音に関する問題や関連する症状は、比較的新しい問題です。しかしながら、寄せられる苦情の数は増加の一途をたどっており、正確な値を測定し、的確な対応をすることが強く求められています。